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世田谷区が生成AI(ChatGPT)サービスを3ヶ月で内製開発。73%以上の職員が生産性向上、1人あたり1日35分の業務削減を実感。

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世田谷区が生成AI(ChatGPT)サービスを3ヶ月で内製開発。73%以上の職員が生産性向上、1人あたり1日35分の業務削減を実感。

記事の要約

  • 世田谷区DX推進担当課がMicrosoft Azureを用いて生成AIチャットボットを内製開発
  • 開発期間は3ヶ月、非エンジニアも開発に参加し、ローコードツールを活用
  • 利用により73%の職員が生産性向上を実感、1人あたり日平均35分の業務削減

概要

東京都世田谷区 DX推進担当課の職員チームが内製で、Microsoft Azure に生成AIを活用する環境を構築し、Microsoft Teamsで生成AIと対話ができるチャットボットを開発し全職員への提供を開始しました。

本チャットボットは、Microsoft Azureがクラウドで提供する機能やサービスのみで構成された環境で、外部に委託することなく、非エンジニア職の区職員がローコードツールなどを駆使して開発されました。自治体に求められる各種セキュリティ要件もクリアしています。

シンプルな環境で習熟が容易なツールを採用することは、多くの自治体が直面しているノウハウの蓄積や開発・運用コスト、開発スピードに関する課題を解決できます。本チャットボットは、区職員が通常業務を兼務しながら3ヶ月という短期間で全ての工程を完了させています。

このチャットボットサービスは、世田谷区の生成AI活用プロジェクトの第一弾として2024年1月に稼働開始しました。現在は生成AIに庁内のデータや文書を参照させて質問に答える「QAチャットボット」をテスト中で、同年3月中にICTサポート用チャットボットを提供開始する予定です。

株式会社クラウドネイティブ(以下クラウドネイティブ)が環境の構築および開発を支援しました。プロジェクトの進捗や担当の区職員の習熟レベルに合わせながらノウハウを提供し、疑問や課題にお応えしました。世田谷区のICT環境へは一切触れず、区職員たち自身の手で構築・開発しています。

テスト中の内部文章を参照したQAチャットボットの概念図
テスト中の内部文章を参照したQAチャットボットの概念図

背景と目的

生成AIと庁内外のデータを活用することで、区職員の業務の効率化、区民の利便性の向上を図ることを目的としています。

企業専用の生成AIを手軽に提供するベンダーも複数ある中、委託請負などのベンダー依存を回避し、持続的かつスピーディな開発および活用を実現するために、世田谷区 DX推進担当課は自組織で構築することを選択しました。

本チャットボットは、生成AIおよび庁内データを活用するプロジェクトの一部であり、今後のプロジェクトの基礎となる環境を、まずは区職員向けに構築しました。

セキュリティ

本チャットボットは、自治体特有のセキュリティ要件を満たしています。β´モデルに基づき三層分離したインターネット接続系にある区の事務環境及び、その環境から利用するMicrosoft Azureをともに論理的に閉域化していることで、入力したテキスト(プロンプト)の内容が外部に流出する可能性は極めて低くなり、また、入力した内容がAIに学習されることもありません。

このほかにも、生成AIと対話するインターフェースを世田谷区役所職員が日々利用するMicrosoft Teamsに限定することで、チャットボットの利用促進と、不適切な利用の抑止を図っています。

チャットボットの特徴

低コスト

区職員による内製のため、Microsoft Azureの基本料金(一部)+利用料(従量課金)のみが実費となります。アカウント数を気にせず広く利用できます。

Microsoft Teamsからすぐに使える

Microsoft Teamsは世田谷区で正式採用されています。普段使っているツールに組み込むことで、区職員が手軽に利用できます。新たにログインしたり、情報を入力したりするなどの手間がありません。Microsoft Teamsが利用できる区職員であれば、チャットボットと対話するだけで利用できます。

親しみやすいキャラクター設定

チャットボットのキャラクターを「明るくポジティブ」「絵文字をよく使う」などの性格に設定することで、親しみやすさを演出しています。

チャットボットの「Hideki」の画像:生成AIによって出力されたものを利用
チャットボットの「Hideki」の画像:生成AIによって出力されたものを利用

成果

チャットボットを実際に利用した区職員127名を対象にしたアンケート結果によると、生産性の向上を実感した区職員が73%にものぼりました。通常業務では1日平均約34分の削減、アイデアや企画の素案作成については1回の処理につき平均約77分削減したと回答されました。役に立った主なケースについては以下の通りです。

アンケート結果:⽣成AIを使⽤する際、どのような場⾯で役⽴ちましたか?
【⽂書の作成での活用】⽣成AIを使⽤する際、どのような場⾯で役⽴ちましたか?

アンケート結果:⽂章⽣成AIを使⽤する際、どのような場⾯で役⽴ちましたか?
【その他の活⽤】⽂章⽣成AIを使⽤する際、どのような場⾯で役⽴ちましたか?

アンケート結果:今後、実装されたら使⽤したいものはなんですか?
今後、実装されたら使⽤したいものはなんですか?

今回のようなシンプルなチャットボットにより、区職員の感触を確かめ、今後実装していく機能の優先順位の参考にすることができました。追加サービスの要望に関するアンケートによると、現在テスト中の「内部文章を学習した問い合わせボット」に70%以上の区職員が期待しています。

また、「やさしい日本語ボット」と題した、そのままでは固い印象や難しい日本語で構成されている文書や規定を、幅広い年齢層や外国人でも読みやすい形に書き換えるボットの要望も多く出ています。市民と行政の接点となる区役所ならではの要望です。

生成AI活用の研修へ96%の区職員が参加意欲を示しており、生成AIへの関心が非常に高いことがわかりました。生成AI活用への強い意欲を示しています。

担当者のコメント

世田谷区がMicrosoft Azureを活用して内製開発した生成AIチャットボットは、自治体のデジタルトランスフォーメーションにおける一つの範例と言えますね。非エンジニアも含む職員がローコードツールを使って3ヶ月で開発し、実際に職員の生産性向上に寄与している点は特に注目すべきです。生産性が向上した職員が73%にものぼり、1人あたり日平均35分の業務削減とは、具体的な数値としても非常にインパクトがあります。これは他の自治体や組織でも参考になる成功例でしょう。
また、チャットボットがMicrosoft Teamsと統合されている点も使い勝手を考慮した良い設計だと思います。セキュリティ面もしっかり配慮されているので、安心して導入を進められますね。

出典: 世田谷区が生成AI(ChatGPT)サービスを3ヶ月で内製開発。73%以上の職員が生産性向上、1人あたり1日35分の業務削減を実感。| PR TIMES

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